相互鈑金のよもやま話 ~整備後のチェックは“仕上げ”ではなく“安全の最終工程”~

相互鈑金のよもやま話 ~整備後のチェックは“仕上げ”ではなく“安全の最終工程”~

皆さんこんにちは!

相互鈑金、更新担当の中西です。

 

~整備後のチェックは“仕上げ”ではなく“安全の最終工程”~

 

事故や接触で傷んだクルマは、板金・溶接・塗装・組付まで数多くの工程を経て戻ってきます。最後に待っているのが「整備後のチェック」。これは見栄え確認ではありません。安全性・機能性・耐久性を保証する、れっきとした“最終工程”です。ここが甘いと、どれだけ美しく直しても品質はゼロに近づきます。この記事では、実務でそのまま使える最終検査の型を、チェックリストとともに整理します。


1|整備後チェックの基本思想(3つの“元に戻す”)

  1. 形状を元に戻す:面、R、チリ(クリアランス)

  2. 機能を元に戻す:開閉・電装・走る曲がる止まる・防水防音

  3. 安全を元に戻す:強度・エアバッグ系・ADAS(先進運転支援)・足回りジオメトリ

この3つを**“数値と証跡”**で示せるかが品質の境目です。


2|最終検査の全体フロー(標準ルート)

  1. 静的外観 → 2) 機能作動 → 3) 診断機スキャン → 4) 光軸/ADAS/アライメント → 5) 防水/防音 → 6) ロードテスト → 7) 書類・証跡の束ね → 8) お客様への説明・引渡し

以下、要点を順に深掘りします。


3|静的外観チェック:見た目は「数値化」できる

  • 面出し:映り込みで“波”や“ヒズミ”を斜め光で確認。ライトボードやルーラー目視の二段確認

  • チリ・段差:左右対称&メーカー基準値内。ガーニッシュ、モール端の段差・浮きを手触りで。

  • 塗装品質:肌(オレンジピール)、艶、色相/明度/彩度、メタリックのフレーク方向性。ダスト・ピンホール・垂れの有無。

  • 下回り処理:シーラーの連続性、スポット溶接痕の防錆、補修ワックスの塗布漏れなし。

ポイント:塗膜は膜厚計でスポット計測(複数点)。“見た目OK”を数値で裏付けます。


4|機能作動チェック:可動部と電装を一気に

  • 開閉:ドア/ボンネット/バックドアの一次/二次ロック、イージークローザー/パワーテールの速度・停止位置。

  • ガラス・ミラー:オートUP/DOWNの挟み込み保護、ミラー格納復帰。

  • 灯火類:全点灯とウィンカー点滅速度、フォグ/コーナリングランプ連動。

  • ワイパー/ウォッシャ:払拭位置・噴射角、撥水面でのビビり。

  • 室内:メーター警告灯、シートセンサー、シートベルトリトラクタ作動。

  • 足回り触診:ブーツ破れ、配線・ブレーキホース擦れ/干渉の有無、締結部のマーキング確認。


5|診断機スキャン:Before/Afterを残す

  • DTC全消去→再始動→再スキャン再発コードの有無を確認。

  • 初期化/学習:ステアリング角センサー(SAS)、ウィンドウ、スロットル、アイドリング学習などを車種別に

  • ソフト更新が必要なECUが出たら顧客合意→実施まで記録。

証跡:**スキャンレポート(入庫前/納車前)**をセットで保管・お渡し。


6|光学系とADAS:作業後は“校正までが修理”

  • ヘッドライト光軸:リフトアップ履歴やバンパー脱着後は必須。

  • カメラ/レーダー校正:フロントカメラ、ミリ波、サイド/リアレーダー、透明エンブレム交換後も含む。

  • パーキングセンサー/360°カメラ:映像の歪み・境目、距離警告の整合。

ポイント:水平床・規定距離・照度など環境条件を満たし、校正完了レポートを保存。


7|アライメント&足回り:真っ直ぐ走る=安全の土台

  • 4輪アライメント:トー/キャンバー/キャスター、スラスト角。調整後はハンドルセンターを実走で確認。

  • トルク管理:足回り、バンパービーム、補強類、バッテリーターミナル等を規定トルクで締結→トルクマーク

  • タイヤ:空気圧/TPMSリセット、偏摩耗・釘の刺さり。


8|防水・防音:雨と風の試験は“その日”に

  • シャワーテスト:ドア・ガラス・テール・アンテナ基部など継ぎ目集中で散水。トランク内やカーペット下の浸水確認。

  • ウインドノイズ:60〜80km/h帯で風切り音、ミラー/三角窓周りのひゅう音を点検。

  • きしみ/ビビり:低速段差・斜め越え・コインパーキングスロープで共振音を確認。


9|ロードテスト:短くても“目的を持つ”

  • 直進性、ブレーキの片効き、加減速時の異音・振動

  • ACC/LKAなどADASの基本作動。雨天時はオフ指示含め挙動説明を用意。

  • 温度が上がった状態で再点検(電動ファン作動音、樹脂の干渉など“熱後”の不具合を拾う)。


10|EV/HEV特有:高電圧の安全と熱管理

  • サービスプラグ復帰・絶縁抵抗、冷却ラインのエア抜き、高電圧配線の逃げ/固定

  • バッテリー温度と周辺の遮熱材復元、パッキン交換の有無。

  • HV作業記録は担当者・時間・チェック項目まで残す。


11|書類と証跡:品質は“言える化”で完成する

  • Before/After写真(外装/骨格/下回り)、塗膜膜厚記録、スキャン2枚、アライメント結果、光軸/ADAS校正レポート、トルク管理表。

  • 交換部品の返却/廃棄の同意、保証書、注意点のしおり

  • これらを1ファイルに束ねて、社内はデジタル保管+お客様へ抜粋をお渡し。


12|お客様へのご説明:体験が品質を“完成”させる

  • 作業内容の要約(写真で3枚以内)/交換と修理の判断理由。

  • 塗装ケア:数日〜数週間は高圧洗浄・撥水剤・固いワックスを控える案内。

  • 初期点検7日または100kmで“増し締め・異音・水漏れ”の無料点検

  • 何かあれば即連絡のホットラインを明示(不安の早期解消=満足度)。


付録|最終チェック“持ち歩き”リスト

外観:面/チリ/段差/塗膜(肌・艶・色)/モール・エンブレム
機能:開閉/灯火/ワイパー/窓・ミラー/室内スイッチ
足回り:トルク/タイヤ・空気圧/アライメント・ハンドルセンター
電装:診断機Before/After/初期化・学習/警告灯ゼロ
ADAS:光軸/カメラ・レーダー校正/Pセンサー・カメラ表示
防水・防音:散水/風切り音/きしみ・ビビり
ロードテスト:直進/制動/加減速/温間再点検
EV/HEV:サービスプラグ/絶縁/冷却・遮熱
書類:写真/膜厚/校正・整列レポ/トルク表/保証書


まとめ

整備後チェックは、「直した」を「安心に変える」プロセスです。
見た目・機能・安全を数値と証跡でそろえ、お客様の体験で仕上げる――この一連を“標準化”できた工場が、紹介とリピートを自然に生みます。
今日から、チェックを工程として再設計し、品質を“言える化”していきましょう。

 

 

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